先輩看護師が患者に対し、いわゆる「タメ口」で話しかけるという光景は、多くの病院で目にする機会があるでしょう。
特に入院病棟ではタメ口率が高いといえます。
しかし、医療従事者ではない人たちにとっては、「友達でもないのに馴れ馴れしい」「看護師の言葉遣いがひどかった」という印象を受けることも少なくありません。
タメ口のメリット・デメリットは、くっきりと分かれています。
メリットは「親しみやすさ」、デメリットは「馴れ馴れしさ」で、一つの特徴が表裏一体となっています。

病院は医療が目的とはいえ、患者を「お金を払ってサービスを受ける対象」として考えれば、敬語で接するのは当然といえます。
一部の人に反感を食らう馴れ馴れしさは、そのような視点からくるものでしょう。
しかし、一概にタメ口が悪いとも言えません。
患者との信頼関係を築く上で、タメ口で接した方が患者が心を開いてくれるケースも多いためです。
信頼関係を構築していくには、患者への歩み寄りが重要です。
その歩み寄りの一歩としてタメ口を用いることにより、距離をぐっと詰める効果があります。
それを歩み寄りと判断するか、馴れ馴れしいと感じてしまうかは患者次第です。

だからこそ、看護師は患者のタイプを見極める必要があります。
もちろん、「患者を尊重する」という考えが念頭にあることが前提です。
敬語をスタンダードに患者のタイプを判断し、距離を縮められそうなら、会話の中で少しずつタメ口を織り交ぜていくようにすると良いでしょう。